睡眠時無呼吸症候群

睡眠時無呼吸症候群とは?

就寝中に呼吸が停止または弱くなり、有効な換気ができなることで、低酸素血症を来たし正常の睡眠がとれなくなる病気です。
医学的には、「10秒以上の無呼吸が、一晩(7時間以上の睡眠中)に30回以上生じる病態」と定義されています。

原因として上気道の閉塞によるものと、呼吸中枢の異常によるものの2種類に大別されます。

自覚症状は様々で、熟眠感の欠如、眠気、だるさ、頭痛、頻尿、居眠り、集中力がないなどがあります。他覚的には、寝ている間にいびきをかく、呼吸が止まっているなど、家族や友人から指摘されるケースも多く見受けられます。
2012年 群馬、関越自動車道で走行中のツアーバスが、運転手の居眠りにより防音壁に衝突。
乗客46人が死傷。(うち7名が死亡)
運転手に懲役9年6ヶ月・罰金200万円の実刑判決が確定。(前橋地裁・2014年4月)

これらの事故をうけ、改正道路交通法が平成26年6月1日から施行され、運転免許を取得・更新申請を行う際、重度の眠気の症状を呈する睡眠障害を含む「一定の病気等」に該当するか否かを判断するため、質問票が交付されることになりました。

また、一定の病気等に該当する者を診察した医師による診察結果の届出に関する規定の整備がなされ、医師は診察した者が一定の病気等に該当すると認知し、その者が免許を受けていると知ったときは、診察結果を公安委員会に届け出ることができます。

つまり、社会的には睡眠時無呼吸症候群があり、医師が危険で有り治療が必要と診断した患者さんは、無治療で車の運転をしてはいけない、という状況になりました。

睡眠時無呼吸の症状

  • いびき
  • 睡眠中の呼吸停止
  • 何度も目が覚める
  • 不眠
  • 寝汗
  • 口が渇く
  • 頻尿
  • 頭痛
  • 熟眠感の欠如
  • 寝起きがすっきりしない
  • 強い眠気
  • 居眠り
  • 疲労感
  • うつ傾向

睡眠時無呼吸症候群により以下のような病気が引き起こされます。

  • 高血圧
  • 多血症
  • 不整脈
  • 虚血性心疾患
  • 心不全
  • 虚血性脳血管障害
  • 糖尿病
  • 肺高血圧
  • インポテンツ

また、以下の病気・状態により増悪します。

  • 肥満
  • 鼻炎(花粉症など)
  • アデノイド(扁桃腫大)
  • アルコール摂取
  • あごがちいさい

よい睡眠をとるために行うとよいと思われる事

  • 寝室はできるだけ、暗く、静かに
  • 寝具(枕、マットをかえる)
  • カフェイン(コーヒー・お茶)は午前中にとる
  • 寝る前にスマホはいじらない・TVは控える
  • 寝るときのみ布団にはいる(ながら寝をしない)
  • ゆっくり入浴する
  • タバコ・アルコールは控える
  • 日中は十分に体を動かし、日光に当たる
  • 寝る前に興奮するような考え事はしない
  • 乳製品やバナナなどを食べる(個人差があります。)
  • 規則正しい生活をする
  • 眠れなくともネガティブにとらえない。

検査の流れ

受診

問診

  • 呼吸について
  • 合併症の評価:高血圧、糖尿病、高尿酸血症、高脂血症、肥満など
  • 家族歴(脳梗塞虚血性心疾患の有無)
  • 生活歴 アルコール摂取歴 喫煙歴
  • 職業や生活環境について

検査

簡易式アプノモニター
検査機器を貸し出します。自宅に持ち帰り翌日受診し結果を聞きます。
終夜睡眠ポリソムノグラフィー(PSG)検査
1泊入院をしておこなう精密検査です。筋電図・心電図などさまざまなモニター機器を装着し検査を行います。しっかりとした検査を行うため、個室での検査が必要になります。
うまく眠れない場合には、睡眠薬を使用します。
※結果は約2週間以上たったあと、外来にてお伝えいたします。
(入院検査は倉持病院にて行います。)
費用 :
約6万円(個室代、以下の検査を含む)
合併症の評価 :
必要に応じ心電図検査、胸部XP、副鼻腔〜胸部CT、肺機能検査 血液検査などをおこないます。

治療

上記の結果を基に呼吸器内科専門医が治療方針を決定し、今後の治療について患者さんと相談の上、治療方法を決定します。

CPAP療法(持続式陽圧呼吸療法)
鼻、または口をおおうマスクをつけ睡眠中の呼吸を補助する機器により治療を進めます。
本療法は、自覚症状が強いこと、重症の無呼吸を有すること、合併症があり医師が治療が必要と認めることなどにより、保険適応での治療が可能です。
他に、マウスピースや、扁桃切除などの手術療法もありますが、その適応は限られており当院では行っておりません。

CPAP療法は、治療開始直後の方にはとてもつらく、きちんと装着できるようになるまでには約半年かかります。
また、自覚症状の改善を認める方も多いですが、重症でも自覚症状の改善が乏しく、治療しても継続できない方も多いのが現状です。

一方、重症の方は無治療で放置した場合
・突然死のリスクが高い
・交通事故を起こすリスクが高い
また、社会的に車の運転がゆるされないなどのリスク、制約もあり、時間をかけて治療に取り組んでいく必要があります。
また、高血圧、高脂血症、糖尿病などの生活習慣病の治療を合わせて行っていくことがとても大切です。

アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎の治療を耳鼻科の先生と連携して行うこと・他の疾患との兼ね合い/優先度を評価して治療していくことも大切です。

また、生活環境(車の運転をするか、施設に入っているかなど)も治療継続の判断には重要です。

当院では呼吸器内科専門医が総合的に合併症の管理を含め患者さんの全体をみて、治療を進めて参ります。
もしかしたら、自分は無呼吸症候群では?!、とお悩みの方は当院へご相談ください。

土曜日・日曜日・祝日も18時まで診療しております。
*当院は東京医科歯科大学快眠センターと連携して治療を行っております。